「ゴン太!聞いた?朱里って呼んでって!」

「あーん?」


ゴン太さん。お怒りモード全開です。

かなり低い位置から睨まれてます。


でも!

「聞こえてたんだよー」

かなり恥ずかしい。


恥ずかしくて、かなり低い位置のゴン太の頭をポンポンと叩いてしまう。

相変わらず、お怒りモード全開で睨みあげてるけど、そんなの関係ない!!


でもまあ、とにかく散歩に行こう。


「ゴン太。行くぞー」


バタバタとエントランスへの廊下を走り出した。

相変わらず軽快に走るゴン太、10才。



が!

エントランスの扉を前に、ゴン太選手、急ブレーキです!…じゃなくて!

「――!危ないなー!」



見るとそこには……


「…昨日のスーツ?」


そう。エントランスの入り口には、昨日居酒屋で見かけたスーツの男。

隠れるようにマンションの様子を見ている。



おっ、僕の危機アラームは正解でした!

イェーイ!…じゃなくて!

……外れてほしかった……


こういう時って、外れないんだよね。案外。


急ブレーキをかけたゴン太も、歯を剥き出して怒っているよう。

これはかなりヤバイかも?!