20分くらいしてバイクは止まった。


そこは、あたしが今まで避け続けてきた場所だ。


「……ここ。ここに結花が眠ってる。」


いつ買ったのか、花を墓を両脇にある花瓶のようなものに入れる。


龍はそのまま手を合わせて目を瞑った。


あたしは……あたしはそのままただ立っていた。


「……なんであたしをここに連れてきたの?」


あたしが聞くと、龍は静かに目を開けた。


「どうせ来たことねぇんだろ?

……結花の墓参り。

こっちに戻ってきてんだから、会わせてやろうと…」
「そんなこと頼んでない!!」


肩で息するあたし。


あたしが怒鳴ったにもかかわらず、龍はただあたしを見るだけだった。


「来ようと思えばいつだって来れたよ!!

この街から出て行くことができたんだから!!

わざと来なかったってことくらいあんたでも分かるでしょ!?

そういうの迷惑なの!!」


こんなに怒鳴っても、責めても、やっぱり龍は何も言わずにただ見ているだけだった。


「何よ……なんとか言ったら?」


……なんか怖い。


龍の目が、あたしの全部を見透かしてるような気がしてならない。