あとは……全部紫苑に任せるしかないのか……。


結以もホントは悪い人じゃないと思うんだけど……。




「……おいスパイ女。」




突然紫苑が口を開いた。


屋上にいる全員の視線が紫苑に注がれる。




「何勝手に消えるとか言いやがってんだ。


そんなこと言ってねぇで、さっさと敵の情報掴んでこい。」




「「え……。」」


思わずあたしと結以の声がハモった。


  
予想外な言葉に、尚希でさえも目を見開いていた。


「……何やってる。

早く行ってこいよ。」


「なんで……。」


「勘違いすんじゃねぇぞ?

お前以上の情報を持ち合わせてる奴を新しく探すのが面倒なだけだ。」


紫苑………。


素直じゃないけど……でもよかった。


結以はひたすら涙を流していた。


「ありがとう………ありがとう………。」


そう呟きながら。




ズキッ


あ……ヤバい………完全に忘れてた……。


「う゛っ……。」


傷が開いちゃったかな……。


ちょっとムリしすぎたかも………。




みんながあたしの名前を呼ぶのが聞こえたと同時に、あたしは静かに目を閉じた………。