桜空あかねの裏事情



「世間に馴染めて生きているから問題無いと?」


鋭い言葉にあかねは黙り込む。
その様子にジョエルは鼻で笑った。


「果たしてそうかな。君はそう断言出来る程、自分の事を知らないだろう?」


まるで嘲笑うかのような物言いに、あかねはジョエルを睨みつけるが、ジョエルはまるで相手にしていないのか不適な笑みを浮かべたままであった。
だが告げられた言葉は、間違いどころか的を得ていた。


「ともあれオルディネには必要なのだよ。異能さえも模倣する事が出来る、稀有な能力を持つ君がね」


ジョエルの口から零れた事実に、あかねは目を見開く。


「そんな事も知ってたの?」

「……以前、君と同じ能力を持つヤツがいたからな」


ジョエルはそう言って立ち上がると、机の棚を開いて何かを取り出す。


「大体こんなものか。お嬢さんは、案外知りたがりのようだな」

「知る必要があると思って」


自身に起こっている事で、周りが知っていて自分が知らない事があるのは嫌だと告げる。


「好奇心旺盛なのは結構な事だが、せいぜい深入りはしない事だ」


ジョエルはあかねに歩み寄って、目の前に一枚の用紙を突きつけた。


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