「!」
背後から掛けられ声にあかねは驚く。
伸ばした手を引っ込め、写真をポケットに隠し勢い良く振り返れば、そこには扉に寄り掛かりこちらを見ているジョエルの姿があった。
室内だと言うのにサングラスを掛けたままであった。
「……お嬢さんは無断で人の部屋に上がり込むように、教育されてるのか?」
「声掛けても返事が無かったから、いないのか分からなくて」
本来なら、ここは素直に謝るべきだっただろう。
だが先程の言動や皮肉のせいか、それとも単にジョエルという存在に嫌悪を抱いているのか、そうする事はなかった。
「だろうな。君は桜空家の御息女だ。礼儀知らずな行動は、母親の顔に泥を塗る羽目になる」
そう言ってジョエルは壁際に沿って歩く。
すると何かを押すような音が聞こえて、部屋が明るくなる。
いきなり明るさが増し、少しだけ目が眩む。
「君がここに訪ねた時、私は丁度二階の図書室にいてね。入れ違いになっていたわけだ」
ジョエルは足場を埋める本を、うまく避けて奥にあるソファに座った。
「本来、自室に他人を入れないのだが、君は不覚にも入ってしまったから聞くとしよう」
「え?」
「聞きたい事があるのだろう。納得していないのは明白だからな。答えてやらなくもない」
ソファに深く腰掛け不適な笑みを浮かべる姿。
そして全てを分かりきったような物言いは、挑発的な態度として取れなくもない。
だが話を聞く気があるのは理解できたあかねは、ジョエルから視線を逸らさず静かに口を開く。
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