「わっ」
振り返って足を一歩踏み入れた瞬間、床に置かれた物に気付かず、躓いてしまうあかね。
転ばなかったものの、加減なしにぶつけた爪先が地味に痛かった。
「痛ッ……ん?」
痛みを和らげるように爪先をさすりながら見れば、躓いたそれは本ではなく黒い何かであった。
「?」
不思議に思い手に取れば、一見黒い表紙の本にも見えるが、所々擦りきれて汚れている。
開いてみれば異国の言葉で綴られたページに書き直された箇所、千切れたページに白紙など恐らく部屋の主であるジョエルのノートか手帳なのだろう。
少し気になって軽くページを捲っていると、どこかに挟んであったであろう何かが床に落ちた。
「なにこれ?」
写真か何かだろうか。
拾って見れば文字が書かれていたが、ぼやけて見えなかった。
裏を返せば案の定、写真だった。
そこには見たことの無い背景と、中央に笑顔の金髪の少年、彼の左右に横を向く黒髪の少年と穏やかな笑みを浮かべた栗色の少年の三人が写っていた。
――……この三人、どこかで見たような?
初めて見る写真だったが、あかねは何故かその三人知っている気がした。
「まさかね」
言い聞かせるように一人で納得し、写真を戻そうと黒いノートに手を伸ばす。
「何をしている?」
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