桜空あかねの裏事情



「はぁ…それくらい自分でやって下さい。ああ、あとそんなに振り回さないで下さい!そのカップはジョエルが買ってきたものですよ!」


呆れて嫌々ながらもポットを持ち、茶を淹れる結祈は何だかんだ言って従順な世話好きなのだと、アーネストは一人でに思う。


「アーネストさんはいかがですか?」

「まだあるからいいよ」


断りを入れれば、結祈は朔姫やギネヴィアにも同じ事を聞きながら歩いていく。
その光景を横目で見やった後、アーネストは立ち上がって窓辺に移動する。
先程まで見ていた晴天だった空は、いつの間にか夕焼けに染まりかけていた。
あと少し経てば、それは闇夜に染まり照らすとは程遠い輝きの星と、そこにいるだけで存在感のある月が出てくるだろう。


「さて」


変わらず景色を見つめながら呟く。


「あまり気は進まないけれど……知る為に協力してもらうよ。あかね嬢」


その声は果たして、誰に届いたのだろうか。

.