桜空あかねの裏事情



はぐらかすような言い方に、分からないから聞いてるんだけど。とは流石に言えず、ひとまずその疑問を置いておく事にした。


「じゃあ……とりあえず行ってみます」

「いってらっしゃい。健闘を祈るよ」


あかねは頷いて、部屋を後にした。


「彼女は?」


あかねが食堂から去るのを見ていた結祈は、直前まで話していたアーネストに問う。


「お手洗いだって」

「そうですか」


安堵する結祈。
その様子を観察するように見つめながら、アーネストは気になっていた事を口にする。


「そんなに彼女が気になる?」

「え……」


唐突な質問に一瞬驚いた表情をした結祈。
だがすぐに真剣味を帯びた表情をして頷いた。


「そうですね。私は彼女の役に立たなくてはいけませんから」

「結祈ー!お茶淹れてー!」


話を遮るように呑気な声が響く。
見ればカラになったカップを振り回している陸人が、結祈を呼んでいたのだった。
その姿は七年前に成人した男性とは思えないほど幼い。
周りにいる朔姫とギネヴィアは巻き込まれたくないのか、なるべく相手をしないように視線を逸らしたり、菓子を手に取ったりしている。


.