桜空あかねの裏事情



意図が分からず素直に問えば、アーネストは満面の笑みで答えた。


「ノックしたらジョエルが逃げてしまうからさ」

「逃げるって子供じゃあるまいし……」

「ふふ。結祈も言ってただろう?大人の姿をした子供だと」


確かにそう言ってはいたが、納得出来るかと言われれば別の話だ。
本当に言葉の通りなら、駄目な大人ということだ。
そんな男の話を聞きに行くのかと思うと、些か情けないような気がする。
だがそんなことよりも、何故アーネストはジョエルがその部屋にいる事を知っているのだろうか。
まるで予め分かっているような、妙に不自然さがあるのだ。


「何だか不思議そうな顔をしているね」

「まぁ……何でアーネストさんがあの男の居場所知ってるのかと思って。ここにいるのに」


思ったことを正直に伝えれば、アーネストは愉しげに笑った。


「それが私だからだよ」

「私だから?」


答えたには捉え難いその言葉を繰り返して、首を傾げるあかね。


「どういう意味ですか?」

「さぁ……どういう意味だろうね。君なら分かるんじゃないかな」


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