桜空あかねの裏事情



「あの様子なら、うまくやって行けそうかな」

「何だか痛そうな顔してますが」


彼らから少し離れたところで様子を見ていたアーネストは、柔らかな笑みを浮かべながら呟く。
その隣で結祈は心配そうな表情であかねを見ていた。


「過剰なスキンシップも時には必要だよ」

「否定は致しませんが……」


そう言いかけて結祈は口を閉ざす。
そんな彼を余所に、アーネストは今も楽しそうに笑う少女を見て、己の心が洗われるような感覚を感じていた。


「この調子で、ジョエルともうまくやっていけるといいね」

「それは……恐らく難しいでしょう」

「何故だい?」

「貴方の方が詳しいのでは?」


悲観的に断定する結祈に、アーネストは即座に問いかけて追及するが、うまくかわされる。


「ああ……そうだ。ジョエルは彼にしか心を開かないんだったね」


わざとらしく声音を少しあげて答えて、アーネストは再び視線をあかねに戻す。


「でも彼女は彼に似ているよ。本当に」

「貴方が言うならそうなのでしょうね……けれど似ているだけでは駄目なんです。それだけではジョエルは心を開かない」


明らかに確信を得ている言動に、アーネストは更に疑問が生じる。


「まるで何か知っているような言い方だね」

「……本人からよく聞きますので。大方、小言のようなものですが」

「君も大変だね」


労りの言葉を述べながらも、更に言葉を続ける。


「結祈は……ジョエルがあかね嬢に執着する理由も知っているのかな?」


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