桜空あかねの裏事情


「……そうですけど」


他人からまた母の名が出て、自然と警戒の色を帯びる。


「陸人、やめなさい。警戒してるじゃない」


あかねの様子に気付いたのか、金髪の女が呆れながら口を出す。
目が合うと女はにこりと微笑んだ。


「あたしはギネヴィア。よろしくね、あかねちゃん」

「はい。よろしくお願いします」


ギネヴィアが手短に紹介を終わらせると、何故か不服そうな顔をする陸人。


「つまんないの」

「アンタ長いのよ」


ギネヴィアの言葉などさして気にも留めてないのか、再びあかねの方を見て口を開いた。


「ボクは菊地家の三男なんだー。菊地家の事知ってる?」

「知らないです」

「まさかの即答!一応、君の家と並ぶ名家なんだよ?とりあえず名家同士よろしくー」


陸人は楽しそうにあかねの手を取って握手をする。
思いっきり腕を上下にさせられ、あかねは痛みに顔を歪める。


「い、痛いです」

「気にしなーい気にしなーい」

「バカ。離してあげなさいよ」


それでも止めない陸人だったが、ギネヴィアが無理やり剥がしてようやく解放される。
僅かに残る痛みから手をさすっていると、朔姫と目が合う。



「山川さんもよろしくね」

「うん……こちらこそよろしく」


控えめながらも少女達は微笑みあった。

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