桜空あかねの裏事情




結祈に案内された場所は、一階の奥にある扉の前。
中は食堂であると歩いている途中にアーネストから聞いた。
微かにだが甘い匂いが漂っている。


「皆さん楽しみにしてますよ」

「……」

「あかね?」

「あの男みたいな人達じゃないよね?」

「それはないよ」


アーネストが即答し、あかねは心なしか安堵する。
それを合図にゆっくりと扉が開いた。


「皆さんお待たせしました」


結祈の背で前は見えないが、視線がこちらに集中しているのはなんとなく分かってしまい、ほんの少し体が強張る。


「結祈ー!遅かったじゃんか!待ちくたびれたよー」

「何言ってんだか。アンタずっとお菓子食べてたでしょうに」

「そういうギネヴィアだって、紅茶ばっか飲んでたじゃん」

「飲んでたって三杯だけじゃない」


男と女の言い合う声が聞こえる。
男の方は陽気で若干幼さが残る声である一方、女の方は気だるさを含んだ艶のある声であった。


「二人とも落ち着いて下さい」


制止すれば静かになり、結祈はそれを確認するとあかねが見えるように横に移動する。
視界には椅子に座る三人の姿があった。
手前の席には肩出しの露出の多い服を着た、妖艶な雰囲気の金髪の女性。
その向かいにはTシャツと短パンとラフな格好をした童顔の男性が座っていて、恐らく言い合っていた二人なのだろう。
そして奥に座るもう一人は。


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