「ごめんなさい。軽い八つ当たりです」
「それはジョエルにやるといいよ」
「そうさせてもらいます」
冗談混じりに笑い合うと、先程までの嫌悪感が嘘のように薄れていく。
「あかね」
短く、しかしはっきりと名前を呼ぶ結祈。
だがその表情はどこか浮かないようで、また気まずそうであった。
「先程は申し訳ありません。初めからお伝えすれば、貴女が気を害す事など無かったのに」
あかねの態度を見てそう思ったのか、俯きながら謝罪の言葉を述べる。
それだけでも結祈が罪悪感でいっぱいなのが手に取るように分かった。
「もういいよ。聞かなかった私も悪いから」
「ですが……」
「それに初めから知ってたら、絶対ここに来てなかっただろうし。そしたら私、お金も持ってなかったから、野宿だったかもだし……ね?」
そう笑顔で言えば、多少気が晴れたのか結祈は少しだけ微笑む。
「ありがとうございます」
「うん!それじゃ、早く行こう?他の人達に会いたい」
「分かりました」
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