「旧寮?ああ……まだ説明されてなかったのか」
ジョエルはサングラス越しに結祈に視線を遣るが、彼は特に何の反応も見せず、ただ事の成り行きを窺っているようであった。
「まぁいい。お嬢さんの言う通り、ここは旧寮ではない。こちらの事情で君を側に置きたくてな。学校側とは、ちょっとした取引をさせてもらった」
「取引?」
怪訝な表情でそう尋ねれば、目の前の男は妖しく笑う。
あかねはそれが何だか不気味で仕方がなかった。
「我々には君が必要なのだよ。お嬢さん」
「必要……どういう事?」
意味深な言葉を聞き逃さず、真意を問い質そうと聞き返す。
すると意外にも彼は素直に答えた。
「君には異能者としてチーム・オルディネに所属してもらいたい」
「…オルディネ?」
聞いた事もない単語を繰り返せば、ジョエルが淡々と説明をし始めた。
「君は知らないとは思うが、我々の世界……異能者の社会は、一般の社会と異なっていてな。チームという団体が複数存在して成り立っている。その内の一つが我等がオルディネだ。チームとは簡潔に言えば異能者を保護する組織のようなものだ。そこに所属する事で、自身の安全や地位を得る事が出来る」
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