「朔姫や駿センパイが色々とアドバイスしてくれたり、紅晶さんがオレの異能をこっそり増幅してくれたりしたんだけど、結局負けたしさ」
「でも結果的には勝ったんだからいいんじゃない?話を聞く限り、実力を確かめたかっただけみたいだし。誰も昶に勝てとは言わなかったでしょ」
「まぁそうだけどさ」
「だったら気にすることないよ。昶は頑張ったんだから。改めてお疲れ様」
軽く励ましながら労りの言葉を掛ければ、昶はほっとしたように笑った。
「終わったことを考えても仕方ねーか。よし!今日は思い切り楽しむぜ!」
声を張り上げる昶に、あかねも嬉しそうに笑った。
それから二人は、取った料理を食べなが団欒を楽しんでいた。
その後は朔姫達とも会話を弾ませ、ポーカーなどのゲームを楽しんだりした。
その間も飲み物や食べ物もひっきりなしに勧められた所為か、宴に加わってからしばらく経つと、あかねは胃に苦しさを覚えて、昶に一言告げると静かに席を外した。
ほとんどの大人達に酒が入り、店内中大騒ぎだったので、あかねの姿に誰も気付くことはなかった。
人の多さと喧騒に熱くなった頭と体を冷やす為、あかねは裏口に続く通路を進んだ。
裏口から外に出ると、喧騒が小さく遠退いていくのを感じる。
そのまま細道を歩いて表通りに出ると、心地よい風に当たれる。
ふと空を見上げれば、月が綺麗に出ていた。
惹かれるように歩き出そうと足を踏み入れると、ふと視線を感じて後ろを振り向いた。
そこにはジョエルがいた。
裏口のそばにいるその姿は、まるで夜の闇と同化しているように見えた。
「見知った場所とは言え、一人歩きは感心しないな」
「分かってる。もう少し風に当たったら戻るから」
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