「お前達がどう言おうが、これが私の下した決定だ。昶には参加してもらう。例え本人が拒絶しようが、逃げ出そうがな」
「ひぃ…!」
蛇に睨まれた蛙とはまさにこの事だろう。
ジョエルから放たれる妙な威圧感と、射抜くように冷ややかな視線に昶が反抗する余地はなく、萎縮する他なかった。
――絶対イヤだー!
――もうジョエルに対して
――恐怖しか感じねーよ!
――逃げたい!激しく逃げたい!!
――でもあかねの為に
――頑張らねーいけない。
――どうすればいいんだ…
――そもそもオレの異能で
――戦えたりすんのか?
――いやいや、異能がどうとかより
――戦うとか無理だろ!
――怖過ぎる…!!
「そういう事だ。昶、分かったな?」
「い、いや…オレは………」
自分なりに打開策を見出す為、思考を最大限に活用していると、ジョエルの声が響く。
本人はあくまで承諾を求めているのだろうが、昶にはとどめを刺そうとしているようにしか見えず、頷くことも否定することも出来ずに狼狽えていると、不意に視界からジョエルが消える。
その代わりに目に写ったのは、見慣れた後ろ姿に薄い金色だった。
「何故……昶を選ぶのですか?」
ジョエルから昶を庇うように立ち、朔姫は静かに問い掛けた。
「言っただろう。勝ち星だけでは――」
「そんな戯言を聞きたいわけじゃない。貴方がそう決めた明確な理由を、私が納得出来るように教えて下さい」
ジョエルを前にして、朔姫はそう言い放った。
周囲で息を呑む音が微かに聞こえる。
きっとこの場にいる全員が驚愕しているのだろう。
普段ジョエルに対し、従順的である彼女からは想像も出来ないほど反抗的な態度に、唖然としながらも朔姫を見つめる。
「それが出来なければ、昶はチーム戦に出させない」
当然ながら後ろ姿しか見えないが、いつもよりやや低い声色や張り詰めた空気からして、どこか怒りを含んでいるように感じた。
「…君にしては、随分と強気に出たものだ。それとも友人とやらが余程大切なのか」
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