桜空あかねの裏事情



「うん。ちょっとビックリした」


あかねは料理を取りながら答えた。
チーム戦で無事勝利を修めたことを祝うとして、昶からヴィオレットに行くと連絡は受けていたが、まさかこんなに盛大なものであるとは予想だにしていなかったのだ。


「だよなー。オレもこんなになるとは思わなかったぜ。関係ないヤツもいるし」

「でもみんな楽しそう」

「だな」


料理を取り終わって、二人は近くにある席に座った。


「チーム戦ではどんな事したの?」

「ん、異能の実力勝負だったぜ。ちなみに三本勝負」

「あ、意外とシンプルだったんだ」

「でもオレにはキツかった」

「そうなの?」

「ああ……」







―――――――
―――――



「故に最後の一人は、君にするとしよう」


まるで何か宣言のように、真上から告げられた言葉。
今まで逸らし続けていた視線を上へ向け頭を上げれば、口元に弧を描き酷く愉しげに笑うジョエルが目に入った。
その瞬間、体が強張っていくのを感じた。


「はぁ!?アンタ正気!?何考えてんの!」

「至って普通の思考回路だが」


全くその通りだ。
陸人の意見に賛成すると同時に、目の前の男の言葉が理解出来ない。
どう考えてもその結論は、普通の思考回路では有り得ない。


「第一、昶に戦闘経験は無い。確かに以前より異能を使いこなせてはいるが、それだけだ。まともに戦えるわけがない」

「そうよ。勝てる要素がないどころか、相手方に散々遊ばれてなぶられて、叩き潰されるのがオチよ」


駿もギネヴィアも同じことを思ったのか、否定的な意見を示した。
二人は庇ったつもりなのだろうが、庇われた当の本人は何か抉られるような感覚が走った。
しかし彼等の意見にも賛成である昶は、反論するどころか思い切り頭を縦に振って己の意志を示した。


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