桜空あかねの裏事情


それから昼食を食べ終え、午後の授業が始まる直前。
アーネストから放課後迎えに行くという連絡を受けた。
既に昶からメールが届いていたあかねには、それが何を意味するかを理解していて、早く授業が終わってくれないものかとその時を心待ちにしていた。
そして帰りのホームルームを終え、待ちに待った放課後。
飛び出すように学校を後にして、アーネストと泰牙と合流すると、迷うことなくヴィオレットへの道のりを歩き出した。
その途中、学校での出来事やら他愛のない話をしていたが、心なしか足取りが軽く感じた。
間もなくして三人がヴィオレットへ着くと、入口には貸切の看板が掛けており、中に入ればそこは既に宴会のように盛り上がっていた。


「やぁいらっしゃい。待ってたよ。今日は貸し切りついでに盛大にサービスしちゃうから、いっぱい食べてってね」

「キャー!湊志さん太っ腹!」


笑顔で向かい入れる湊志と、彼の寛大な発言を囃し立てる昶の歓迎。
あかねは笑顔になりながら辺りを見渡す。
店内の雰囲気は普段となんら変わりないのだが、食事はビュッフェ形式で、台の上に様々な料理が置かれていた。


「えーなにそれー?先輩のお酒は飲めないってわけ?」

「いえ、そういうわけでは。ただ…その…私はまだ未成年で」

「そうよ陸人。朔姫ちゃんに勧めるなら、せめて炭酸にしなさい」


少し離れたところでは、酒を含んでいるのか悪酔いしている陸人と絡まれている朔姫、そして陸人を諫めているギネヴィアの姿があった。
朔姫は一見困っているようにも見えるがどこか楽しそうで、更に奥には紅晶と駿が料理を取りながら二人で話をしていた。
その他にも見知らぬ人達がいて、食事をしたり会話を楽しんだりしていた。
湊志が言うには、彼等のほとんどはオルディネと特に関係はなく、単純にパーティーとして楽しんでいるらしい。



「あかね、これ食べるか?」

「食べる!昶は?」

「もち。ってかすごい盛り上がりだよな」


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