――例えそれが事実であっても
――そうでなくても。
――あかね嬢がジョエルに何らかの
――影響を与える存在であるのは
――間違いない。
彼女の存在があるというだけで、オルディネには活気が戻りつつある。
その存在が現在ジョエルに影響を及ぼしているか否かはさておき、少なからずジョエルはそれを期待しているのだろう。
――加えてあかね嬢は
――彼によく似ている。
――そういう意味合いで捉えるなら
――彼女は彼の代用品と
――いうことなのだろうか。
――しかしそれにしては
――ジョエルはあかね嬢に
――執着しながらも
――彼女自身に理解を示している。
――代用品として
――見なしているなら
――個人の性質を理解する必要はない。
――ただそう見せかけているなら
――彼は相当の策士であり
――あまりに残酷な事実だ。
――そしてジョエルに
――希望を抱かせるのも、
――絶望へ陥れるのも
――全てあかね嬢である
――その真意は?
――残念だけれどまだ……。
「…早いのかも知れないね」
「ん??早いって、アーネストは何か知ってるの?」
「いや、残念ながらジョエルが何を考えているかは分からない。けれど彼は、思い詰めるあまり執着し過ぎる性格なのは確かだよ」
その言葉を泰牙がどのように受け取ったかは不明だが、恐らくジョエルに対して警戒の姿勢を崩すことはないだろう。
旧友という贔屓目から見ても、信用はしても信頼するには危うさがある相手だ。
自分以外にも、用心している者がいる方がアーネスト個人としては有り難い。
「それより泰牙は、これからどうするんだい?」
「え?」
「オルディネに降るか、降らないか。そろそろ決めてもいいんじゃないのかい」
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