ジョエルとはかれこれ数十年の付き合いだが、だからと言って信頼を寄せる人物かと問われれば、実に微妙なところである。
しかし普段の態度からして想像し難いかも知れないが、彼は良くも悪くも一途である。
そんなジョエルの性格を、そして彼にとってオルディネの存在がどのようなものであるかを理解しているからこそ、アーネストはそう断言できる。
また思いのほか彼の行動は子供じみている部分もある為、分かり易かったりするのだ。
「それにあかね嬢があれだけ頑張っているんだ。彼女の努力を無駄にしない為にも、是が非でも勝ってもらわなければね」
「俺もそう思うよ。じゃなきゃ、あかねちゃんが報われないよ。でもさ」
泰牙は言葉を続ける。
「どうしてジョエル殿は、あかねちゃんをリーデルにしたいのかな。別に否定するわけじゃないけど、あかねちゃんじゃなきゃ駄目だってわけでもないと思うんだよね」
確かに、かつて自分も思ったものだ。
唐突にやってきた少女を否定するわけではないが、オルディネの存続を念頭に置くならば、未成熟な存在よりも確実な存在を選んだ方が遥かに効率的だと。
だがジョエルは彼女を選んだ。
「…それとも、何か思い入れとかあったりするのかな。ジョエル殿ってあかねちゃんに対して、少し変だし」
「変?」
「なんとなく、だけどね。ジョエル殿ってあかねちゃんにだけ違うんだよ。なんて言えばいいのかな……期待してるというより、何かを求めてるって感じがするんだ」
「………」
――やはり泰牙は
――他人に対して鋭い。
――そういう性質か境遇故か。
――どちらにしろ、生きる上で
――欠かせなかった資質だった
――のかも知れないけれど。
以前ジョエルと対峙した時、彼が彼女を最高傑作にして最大の欠陥品と言っていたのを思い出す。
まるで物のような言い草に、その時アーネストは珍しく不愉快を露わにしたが、同時に彼なりの遠回しな答えなのではと感じた。
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