黎明館 食堂
「にしても、駿って意外と早起きなんだね」
結祈が用意した朝食を食べる駿に、泰牙は声を掛ける。
「そうでもないだろ。一限の授業がある時はもう少し早い。それに俺からしてみれば、泰牙達の方が早い気がする」
本日のチーム戦により仕事も休みになった駿は、結祈の勧めによりアパートには戻らず、昨日から黎明館で過ごしていた。
そして普段通りに目が覚めた駿は、宛てがわれた部屋から出て食堂へ赴くと、既に泰牙と紅晶がいて朝食を取っていた。
そして誘われるように彼も加わり現在に至る。
「まぁそうかもね。でも俺あんまり眠れない質なのよ。三時間も眠れば十分だしね」
「それは少な過ぎじゃ?」
「そうかな?丁度いいけど。今までいつ寝首を掻かれてもおかしくない環境だったし」
「でもお体の方が心配ですね。睡眠時間が長すぎるのも毒ですが、短過ぎるのも返って毒かと」
今まで傍らで話を聞いていた話を聞いていた紅晶が尋ねる。
「それね。昶くんにも言われたけど、ここに来てからは今までより長く眠れてる気がするんだ」
オルディネには現状で自分の命を狙う者はいない。
だからこそ泰牙は、ほんの僅かだが安らぎというものを感じているのかも知れない。
「そうなのですか?それなら良いのですが…」
そう言いながらも、心配そうな面持ちを崩さない紅晶。
「でもまぁ、みんな心配してるし善処はするよ。それに君には借りがあるからね」
「借り?」
泰牙の言葉に、駿は気になって聞き返す。
「うん。アヴィドに襲われた時にちょっとね。今思えば、あれは必然だったのかも」
「?……何かあったのか?」
駿は紅晶に問い掛けるが、彼女は何も言わずに笑みを浮かべるだけだった。
「あ、そうだ!駿の携帯貸してよ」
「何に使う気だ?」
「いいからいいから」
理由を述べない泰牙に、訝しげな表情を浮かつつも駿は渋々、携帯を手渡す。
「ありがとー。最近、携帯のアプリってのにハマってるんだよね。あ、あと昨日の子ってさ…本当に恋人じゃないの?」
「彼女はただの友人だ。何度も言ってるだろう」
「そうだけどさ?俺には随分親しそうにみえたんだよねぇ」
「…養成所の同期だったからな。同じ授業を受け、行動を共にすることも多かったから、そう見えるだけなんじゃないか?」
「なるほどね~。で、その割には毎日何通もメールのやり取りしてるっと」
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