黎明館 自室
「ねむ……」
ベッドから上半身だけ起こしたまま呟く。
ジョエルとの話が終わった後、結局あかねが寝付けたのは夜も更けた二時過ぎであったため、言うまでもなく寝不足だった。
このまま再び潜り込めば、すぐにでも眠りにつけそうな睡魔に抗いながら、あかねは洗面台へ向った。
顔に水を掛ければ、ぼんやりとした意識も幾分かはっきりするもので、睡魔の衝動も和らいでいく。
洗顔と歯磨きを済ませ部屋に戻ると、寝間着から制服に着替え始める。
ここに来てから約二ヶ月。
深く考えることもせず、避けるように実家を出て先々不安もあった。
だがダチと呼べる親友も出来て、勉強もそこまで支障もなく高校生活そのものは、順調だったような気がする。
しかしそれと同時に、異能者という存在と直接的に関わり、チームというものを初めて知った。
そしてチーム・オルディネのリーデル候補となり、ただ家を出たい一心だった頃には想像もつかなかったほど、あかねの環境は驚くほどに劇的に変わっていた。
「よし…っと」
あらかたの支度が整い、ふと時計を見ると七時を少し過ぎたところを指していた。
――思ったより早いや。
――もう少し寝てても良かったかも
普段ならまだベッドの中で、睡魔と戦っている頃だ。
少し勿体無いことをしたなと思いつつも、あかねは鞄を持って部屋を出た。
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