桜空あかねの裏事情


「どうかしました?」

「ああ失礼。そのような反応するお嬢さんは初めてだったから、少し驚いてしまった」


青年は立ち上がって正面に立つ。
そしてあかねの顔を見てにっこりと微笑んだ。


「うん。確かに写真よりずっとチャーミングだ。その瞳も……とても魅力的だ。どうだろう。私と今晩お喋りを楽しまないかな?もちろん、二人きりで」

「二人…?」

「アーネストさん!」


二人のやり取りを見ていた結祈は、会話を遮るほど大きな声で名を呼んで、割り込むようにして前に出るとあかねを背に隠した。


「そんなに慌てなくても。ただの冗談だよ」

「貴方の場合、冗談に聞こえません」

「それは困ったな。私としては彼女と是非ともお近付きに」

「ならなくていいです!」


アーネストと呼ばれた青年は、あかねに近付こうと足を踏み入れるがまたもや遮られ、やれやれと軽く肩を落とす。


「仕方ない。今回は諦めるとしよう」


一歩下がると結祈は、あかねに彼の姿が見えるように僅かに横にずれる。


「紹介致します。こちらはアーネスト・ウィンコット。数日前から黎明館に滞在しています」

「……外人さん?」


率直な疑問を口に出せば、アーネストは笑みを浮かべる。


「まぁそんなところかな。改めましてよろしく。あかね嬢」

「はい。こちらこそ、よろしくお願いします」


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