桜空あかねの裏事情


それから数分後。
徐々に人気の無い道を歩き、住宅地を通ると結祈の言う通り目の前には年季の入った三階建ての洋館が聳え立ち、あかねの視界を奪った。
これが結祈の言う黎明館なのだろう。


「ここが黎明館です。見た目は少し古いですが、中は改装済みなので安心して下さい」


結祈は玄関の扉を開けた。


「どうぞ中へ。皆さん待っていると思いますから」

「はい。お邪魔します」


緊迫した面持ちで中に入ると、最初に目に入ったのは二階に続く階段と天井から吊された豪華なシャンデリアだった。


「すごっ」


旧寮と言われ多少の欠陥はあると覚悟はしていたが、実際は寮とは思えない程に豪華な装飾で、どこかの富豪の家ではないかと勘違いするほどだった。


「気に入って頂けましたか?」

「気に入ったっていうか、寮ってもっと質素なものかと」

「あ、その件なのですが――」


結祈が何か言い掛けた時、上から物音が聞こえた。


「そこにいるのは結祈かな?」



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