結祈の慌てぶりに驚いた所為か、それと同時にとんでもない事を聞いた気がしたはずなのに突っ込む気になれず、あかねは率直に自分の言い分を貫くことにした。
「変な事言われても困るよ」
「そんな……敬称なしで呼ばなければいけませんか?」
――別に。ただ堅苦しいだけ。
内心で否定しつつも、このままではいつまで経っても平行線のような気がしたあかねは、思ってもない事を口にする。
「駄目。名前で呼んでくれないと、すっごい駄目」
そう言えば結祈は暫く沈黙した。
様子を伺うように待っていると、結祈は困ったように、はたまた降参したかのように苦笑に近い笑みを向けた。
「……分かりました。慣れませんが、あかねと呼ばせて頂きます」
「うん!それが一番いいよ!よろしくね結祈!」
「はい。こちらこそよろしくお願い致します」
納得して満面の笑みを浮かべると、結祈もまた照れたように顔を綻ばせ自然な笑みになる。
「ところで結祈はいくつなの?」
「自分は19です」
「えっ年上だったの!?」
幼い顔立ちとは裏腹に意外な事実を知る。
そして先程まで年上に様付けで呼ばれていたという、何とも言えない複雑な心境にあかねは苛まれつつあった。
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