桜空あかねの裏事情



「と、言いますと?」


意図が理解出来てないのか、質問を質問で返されてしまう。


「ほら……あなたと私って年近そうでしょ。敬語は不自然というかなんというか……」


そこまで言うと、結祈は目を丸くする。


「自分は誰に対しても敬語ですので、これが自然なのですが。あかね様は敬語が好きではないのですか?」

「いや、好き嫌いとかの問題じゃなくて……うーんと」


なかなか言葉が思い付かず悩むあかねだが、とりあえず例えをあげてみる事にした。


「例えば、その様付けなのとか!簡単に言うと、堅苦しいのが苦手なの」

「堅苦しいのが苦手……ですか」


結祈は言葉を繰り返すと、少し思案して口を開いた。



「分かりました。呼称は善処致します。ですが、その……敬語は」

「あ、敬語はいいよ。元からなんでしょ?」

「はい。ご理解頂けてなによりです」


頷く結祈だったが途端に、不安そうな表情に変化する。


「それでその……」


今度は結祈が控えめに尋ねてくる。


「あかね様の事を何と呼べば宜しいのでしょうか?」

「?……普通にあかねでいいよ」


あかねからしてみれば、普通に言ったはずの言葉だった。
しかし何故か、結祈は誰が見ても明らかな程に動揺していた。


「なりません……!仮にも主となられるお方を敬称なしで呼ぶなど!」


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