桜空あかねの裏事情


あかねと昶は互いに笑い合う。
異能者として友達として。
そのことで少しだけ昶の事を理解出来たような気がした。
そして昶もまた彼女の言葉に安堵したのか、はたまた心を許したのか、徐々に自身の事を話し始めた。


「オレはさ……物心ついた時には、もう異能があったんだ。けど親戚にもそういうヤツいないし、突発的なモノだったみたいで母さんはすっげぇ驚いたんだって」

「そうだったんだ」

「小さい時は能力を自制出来なくて、よく姉ちゃんや母さんを困らせてた。友達には気味悪がられてハブられて……それでも家族はオレを見放したりはしなかった」


過去の出来事を思い出していたのか、昶はどこか遠い目をしていた。
同時に彼にとって家族が、どんな存在かなんとなく分かったような気がした。


「あかねはどうだった?」

「私?」

「おう。友達付き合いとか苦労しなかったか?」


不安そうに聞いてくる昶に、あかねは何だか申し訳ない気がしていた。


「私はあまり……。というか昶ほど、苦労はしてなかったかも知れない」


過去を振り返ってみても、友人関係で苦労した事はない。
そもそも昶と出会うまで家族以外の異能者に会った事は極少数で、自身が他人と少し違うという程どの認識しか無かった。
必要以上に関わっていないのも事実だが、あかねは異能者ではあるものの能力を使った事など皆無に等しく、むしろその能力が何なのかさえ、自分ではあやふやであった。
また昶とは逆で、苦労したのはむしろ家族の方であり、今でもそれは続いている。


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