某所
喧騒など始めからないと言わんばかりに、静まり返った裏通り。
そこに建ち並ぶ建物のどこかにある、薄暗い部屋。
その中心で、向かい合うように座った男が二人。
それを監視するかのように幼い少女と、青年。そして淑やかな女性が彼等を囲っていた。
「何?あの男の潜伏場所が分かっただと?」
緊迫とした雰囲気の中。
鋭い目つきに顎髭を生やし、厳格な風貌をした男が尋ねた。
その落ち着きながらも、凄みのある低い声に縮こまりながら、目の前に座る和装の男は口を開いた。
「は、はい。なんでも、うちの諜報の一人が見つけたようでして」
「アンタんとこの諜報ねぇ……役に立つわけ?」
不安そうな表情をする男が座るソファーに頬をつきながら、青年は小馬鹿にしたように口を開いた。
「僕のところにいる諜報の中では随一でして」
「随一……彼はどこにいますの?」
「それが驚いた事に、オルディネの黎明館だったんですよ」
「何?オルディネだと?」
考え込むように話を聞いていた男は、オルディネという言葉に反応し、僅かながら愕然としていた。
その様子に気付いた、青年は素っ気なく言葉を投げる。
「なんだよオッサン。変な顔してんぞ」
「当然だ。オルディネと言えばかつて、我らアヴィドなど足元にも及ばない栄華を極めた偉大なチームだ。今はその名残もないが、協会から一目置かれている」
「ふーん。でもそりゃ過去の話だろ?この際、あの男諸共ヤッちまおうぜ」
「貴方、今の話聞いてましたの?本当に馬鹿につける薬はありませんのね」
「はぁ?ケンカ売ってんのかババア」
女性が辛辣に言葉を並べれば、青年は癪に触ったのか殺気を向けながら睨みつける。
そんな殺伐とした様子を見て、二人の上司に当たる男は深い溜め息を吐く。
「全く……こういう時ぐらい静かにしないか」
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