煮え切らない泰牙の様子に、このままではいつまでも平行線だと悟ると、あかねはある強硬手段に出る。
「そうだ。泰牙さん!小指出してください!」
「こ、小指?……こう?」
いきなりの事に戸惑ったのか、泰牙は控えめに小指を突き出す。
するとあかねは、差し出された彼の小指に自身の小指を絡めて、口を開いた。
「指きーりげんまん〜、うそ付いたら、針千本呑ーます、指きった!」
言い切って満面の笑みで小指を離すと、今のやり取りを理解出来ていなかったのか泰牙は困惑していた。
「ってことで!約束ですよ、泰牙さん!絶対行きましょうね!」
「えーと…」
「じゃないと、一万回も殴られて針も千本呑まなきゃいけなくなりますよ」
「ええ!?そうなの?何で!?」
唐突に言われた不穏な単語に、泰牙は今まで以上に驚きを見せる。
どうやら彼は指きりと言うものを知らないらしく、説明すると脱力したように胸を撫で下ろした。
「ふぅ〜……今のが指きりってヤツなのね。針千本とか言うから、すっごい焦っちゃったよ」
「普通は針千本も呑めませんもんね」
あかねは苦笑しながら答えると、間髪入れずに更に話を続ける。
「でも約束はしましたからね!怪我が治ったら、行きましょうね!」
「うーん。困ったなぁ……」
泰牙は言葉を詰まらせて、頭を掻く。
だが先程よりかは心は揺らいでいるようで、どこかそわそわしている。
「ホントにいいのかい?俺、何も知らないよ。電車ってのにも乗った事ないし」
「大丈夫です。その為に私がいるんですから。それに電車なんて乗っちゃえば簡単ですよ」
誘惑にも取れる言葉に、更に揺さぶられる泰牙は、不意に口を開く。
「……君って、割と我が強かったりする?」
「え、そう見えますか?でも、何に対しても素直に生きてはいますね」
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