桜空あかねの裏事情


面と向かってはっきりと告げると、泰牙は目を丸くして固まっていた。
真剣な眼差しと驚愕の眼差しが交差し、両者とも話さず辺りが静まり、沈黙に包まれる。


「……ぷっ」

「?」

「くっ………ははははっ!」


その沈黙も束の間、泰牙が急に腹を抱えて笑い出す。


「た、泰牙さん?」


どう対応していいか分からず、おろおろとするあかね。


「くっ…ご、ごめん……っはは……あはははっ!」


謝罪の言葉を述べるも、一向に笑いが止まらない泰牙を見て不思議に思いつつも、彼が落ち着くまで待ってみる事にした。


「……ふぅ。あー…久々に笑ったからか、お腹がちょい痛いよ」


しばらくして、ようやく笑いが治まり、泰牙は涙が溜まった目を擦りながら、話し始める。


「いやね、実は君に言う前にアーネスト殿にも同じ事言ったんだけど」

「アーネストさんに?」


不意に名前が出て、あかねは不安が過ぎる。
確かにアーネストは賛成はしてくれてはいるが、ジョエルの意見にも理解はあった。
だからこそ泰牙に対して何を言ったのか、無性に気になった。


「アーネストさんは……何て?」

「彼も君と同じように、気にしないでいいって言ってくれたよ」


その言葉を聞いてあかねは内心、安堵する。


「ついでに、俺がいなくなったら君が寂しがるって言ってね。だから同じことを君に言ったらどうなるかって聞いたら、全力で止めに掛かるだろうって言うもんだからさー」

「はぁ……」

「そうなのかなぁ〜って思って、試しに聞いてみたわけ。そしたら、あまりにも彼の言う通りだったからさ、なんか可笑しくなっちゃって思わず笑っちゃったんだ」

「そうだったんですか。それなら」


――あれ?って事はつまり……。


「私を騙したんですね!」

「うーん。やっぱりそう取っちゃうか」


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