話を聞いたあかねは、もしかしたら昶と出会ったのは単なる偶然ではないかも知れないと思い始めていた。
「でも席はお隣じゃないんだよなー」
「昶はどこなの?」
「窓際から2列目の一番前」
「お気の毒に」
例え出席番号順の席であれ、出来れば回避したいと思う席になってしまった昶。
ひょっとしたら運が悪いのではと思いながらも、あかねは労りの言葉をかける。
――ん?という事は。
「私は一番後ろ?」
「だな」
「よし!」
小さくガッツポーズをするあかねに、昶は泣きマネをする。
「くっ…やると思ったよ」
下駄箱に軽く当たる昶を構わず、革靴から上履きに履き替えて辺りを見る。
「クラスどこ?」
「1年3組。出席番号はオレの前だから5番だな」
言われたクラスと番号を探すと、一年三組の下駄箱は少し離れたところにあり、自分の靴箱は下から二番目だった。
自分の番号が書かれたプレートを目印に、革靴を入れて立ち上がる。
「友達出来た?」
「まあな。寮の奴らだけなんだけど、隣の奴で」
「香住!」
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