「そりゃあ……オレの事知ってたくらいだからな。あかねの事も調べてて当然だと思って」
「そうだな」
推測ながらも平然と言ってのける昶に、ジョエルは今更隠す動機もなく素直に肯定する。
「君の言う通り、お嬢さんの家庭事情は把握していた。それが重荷になっているとは思わなかったがな。何しろヨシがその娘を引き取ったのは然るべき措置であり、お嬢さんが気に病むことではない」
口ぶりからしてジョエルは、あかねの母親であるヨシがその少女を引き取った理由を知っているようだ。
「だがここに大した抵抗もなく来たのも、家族を恋しがる素振りすら見せないのも納得した」
「…そんなに嫌なのか。あかねのヤツ」
普段陽気に振る舞う昶にしては、珍しく寂しげな顔をする。
「避けてはいるが、嫌いかどうかは分からん」
「え?」
何気なく返された言葉に思わずジョエルを見るが、それ以上答えるつもりはないのかあかねの部屋の扉を閉めて、自室まで歩いていく。
「こればかりはお嬢さん自身の問題だからな。彼女から助けを求められでもしない限り、我々がどうこう口にする事ではない」
「それはそうかも知んねーけど」
自分を支えてくれる大切な親友の非常事態なのに、何も出来ないと言われて納得できるはずがない。
煮え切らない態度の昶を横目に、ジョエルは溜息を吐く。
「どうするかは君の自由だ。だが少なくとも今は放っておけ。寝た子を起こすなと言うだろう」
「んなの、分かってるっての」
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