黎明館 食堂
来客であった槐が館から去った後、結祈は気持ちを切り替えるように、自分の仕事に取り組んでいた。
ふと荒々しく駆ける足音が聞こえてきて、動かしていた手を止める。
今の時間は自分とジョエル、そしてあかね以外は館にいないことを知っていた結祈は、不思議に思い流れている蛇口の水を止めた。
廊下に出ようと歩き出したその時、その足音は止み同時に姿を現した。
「あかねッ!」
「…昶でしたか」
遠慮なく扉を開けたのは、外出していたはずの昶だった。
不審者では無かったことに結祈は安堵して、気付かれないように一息零すと、何故ここにいるのかと疑問を投げる。
「どうしましたか?この時間は確か、朔姫やご友人達と外出予定と聞いておりましたが」
「そうだったけど、あかねがいないとやっぱつまんねーから帰ってきた」
昶は辺りを見回す。
「あかねは?」
「自室におりますが、しばらく一人にして欲しいとの事でして」
結祈の言葉に昶は、何か思案する素振りを見せてこの場を後にしようと動く。
「一応、部屋に行ってみるわ」
「……応えてくれるか分かりませんよ」
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