桜空あかねの裏事情


「私はあまり他人と関わらない質だからな。参考になるとは思えないが」

「それでもいいの。聞かせて」


不安げな表情とは裏腹に、凛とした声。
ジョエルは何か吹っ切れたように一息吐いた。


「私は滅多に自分から人に関わる事はしない。故に君の質問に答えられるか些か疑問だが……そうだな。まずはその相手に気を配る事だろうか」

「気を配る?」

「そうすることで、相手の些細な言動や趣味、性質などが掴める。相手の要点さえ掴めれば、あとは合わせる事をすればいいだけだからな。煩わしい相手でも余計なことを考えずに済む」

「そう…なんだ」

「まぁこれは相手に問題がある場合によるがな」


そこでジョエルは目を伏せ一度言葉を区切るが、またすぐにあかねを見据える。


「お嬢さんの場合は逆だろう?」


核心をついた言葉に、青い瞳は動揺ではなく悲しげに揺れた。


「……うん。そうだよ。問題があるのは私の方」


否定することもなく、どこか諦め顔で力無く肯定するあかね。


「私の中にある感情が、あの子を拒絶するの」


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