それからしばらく沈黙が続き、室内は呼吸するのも難しく思えるほど、重苦しい雰囲気に包まれる。
「……どうして」
そんな雰囲気に混ざり合うかのように、か細く所々震えている槐の声が、妙に部屋に響く。
「どうして、そんな事言うの?私の事はともかく、ヨシさんの事まで……ヨシさんは」
「何もつい最近の事じゃない。あなたが来るずっと前から思ってたことだから」
恐らく槐は、母は悪くないと言うつもりだったのだろう。
そう思ってしまうのは、自分が来たからだと。
だが何もあかねは、槐が来てから母に大切にされてないと、思ったわけではないのだ。
「ずっと……前から?」
繰り返すと、槐は途端に泣きそうな表情になる。
「……ダメだよ。ヨシさんはあかねちゃんの……、大切なお母さんなのに。そんな風に言っちゃダメだよ!」
「ッ、そんなこと」
――言われなくても分かってる。
「…そんなこと、何も知らないあなたに言われたくない!!」
思うこととは裏腹に、視線を合わせず強く言い放つ。
「あなたも母さんも嫌い!大嫌い!!いつも人の機嫌を伺って、まるで腫れ物に触るかのように接してきて馬鹿みたい!……本当ムカつく!」
今まで心の奥底に隠してきた感情を、槐にぶつけるあかね。
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