嬉しそうに話す槐に息を呑む。
彼女と会うことも話すことも避け続けて来たあかねからしてみれば、槐の意志を垣間見たのはこれが初めてだった。
「今すぐじゃなくていい。少しずつでも、分かり合えたらって思うの」
相手にどう思われているのか分かっているのに、それでも歩み寄ろうとする槐。
ひたむきに向き合おうとするその姿に、あかねは引け目を感じて俯く。
――この子は私と一生懸命向き合おうとしてる。
ーー別に嫌いじゃない。でも……。
「それにヨシさんも、私達が仲良くなってくれたら嬉しいって言ってくれて」
「母さんが?」
母の名を聞いて、あかねは思わず聞き返す。
槐は嬉しそうに頷いた。
「二人共、大切な娘だからって」
恐らく善意で告げられた言葉だっただろう。
しかしそれはあかね自身の何かを、冷え切らせていくだけだった。
――大切なんて…思いもしない嘘。
ーー母さんはいつも、私の事……。
否定的な思考と共に、あかねから笑顔が次第に無くなっていく。
「ヨシさんがね、今度みんなで旅行でもしようって――」
「嫌」
小さく呟きながらも、あかねははっきりとそう言って立ち上がる。
突然の拒絶の言葉に槐は戸惑いを隠せず、不安げに見上げて声を掛ける。
「あ、あかねちゃん?……どうしたの?」
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