「良かったら話してみないッスか?」
それが瀬々の処世術なのかと、人事のように思いながら昶は話してみる事にした。
「はぁ〜。なんスか結局。昶っちはあかねっちがいなくて、寂しいだけなんスね」
時間にしてみれば、ほんの数分。
しかし昶にしてみれば、それ以上に時が過ぎたような感覚だった。
「悪いかよ」
「別にー。ただ俺っち的に何かあったのかと思ったんス」
予想していた事実と違ってたのか久々に勘が外れた。などとぼやいている瀬々。
だが昶はその勘が外れていない事を知っている。
瀬々に誘導されるがままに話し始めた昶だったが、あかねのあの豹変ぶりについては一切語ってはいなかった。
――正直言ってオレは瀬々を信用しても
ーー信頼はしてないと思う。
――オレはあかねのように、すぐに誰かを信じる事は出来ないし、信じ続ける事も難しいんだ。
――けどそんなオレでも、あかねを信じる事は出来たから。
――あいつの力になりたいし、支えてやりたいと思ってる。
そんな秘めた想いを知りもせず、瀬々は変わらず話し続けている。
「ともあれあかねっちは、急にやって来たお客様の相手をしてるってワケなんスね」
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