黎明館 自室
「あかねー。準備出来たか?」
「ん。一応」
バッグに財布、携帯など必要最低限の所持品を詰め込むと、見計らったように昶が自室のドアを開けて入ってくる。
「待たせてごめん」
「へーきへーき。オレもさっき準備出来たとこだったし」
そう言うと凝視し始める昶。
その様子を不思議に思い声を掛ける。
「どうかした?」
「あ、いや……大した事じゃねーんだけど」
「うん」
「なんか、お前にしては珍しい格好だと思ってさ」
その言葉にあかねは納得する。
今日選んだ私服は、シフォン生地に裾に細やか刺繍の入った上品な白いワンピース。
普段は好みであるセーラーカラーの服装が多い所為か、あかね自身も珍しいかつと着慣れていないぎこちなさを抱いていた。
「珍しいっしょ。この前、アーネストさんから貰ったんだ」
「え……マジで!?」
「マジ」
驚愕する昶を余所に数日前の記憶を振り返る。
その日は明日の支度を終え、就寝しようと明かりを消そうとした時に丁度ノックの音が聞こえた。
既に十一時を過ぎていた為、ジョエルかも知れないと思ったあかねは少し重い気持ちでドアを開けた。
しかしそこにいたのは、夜は不在の時が多いアーネストで、いつもと変わらぬ笑みを浮かべて立っていたのだった。
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