それからもあかねと昶は、教えを請いながら異能の知識の習得に励んだ。
数時間ほど経過したところで、駿はふと時計を見遣る。
「――少し過ぎてしまったな。今日はここまでにしよう」
その言葉を合図に、二人は教科書から目を離して駿を見上げる。
「今日教えた事は、明日の実技でも十分役立つ。自身で何度も反復し、理解する事だ」
「うえ……」
「…難し過ぎる」
了承の言葉よりも先に本音を口走る二人に、駿は目を伏せ溜め息を一つ零す。
「短期間で詰め込む事に、不安があるのは分からないわけではない。だが自分達が決めた事だろう」
「うー……そうです」
「なら最後まで頑張れ。俺も君達には期待している。ではまた明日」
「ありがとうございましたぁ…」
疲れている所為か、語尾が間延びする。
それに気付いたのか、駿は困ったように少し笑って部屋から出て行った。
すると昶は張り詰めた糸が途切れたように、上半身を思い切り机に突っ伏した。
「やっと終わった。マジ疲れたー……」
「そうだね……」
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