当然ながら、昶はあからさまに嫌悪を示す。
「その通りだ。ちなみに希少な異能であればある程、闇市では価値が跳ね上がるそうだ」
「だから自分の身を守る為に、異能を鍛えるんですか?」
率直に問えば、駿は頷いた。
「ああ。実力社会で生きるには、それが必要不可欠だ」
正論たるその言葉に、もしかしたら知らないところで守られていたのかも知れないと、そんなことがあかねの頭にふと過ぎる。
「普通の人も大変だけど、異能者も同じくらい、それ以上に大変なんだな」
「…そうだね」
「けど異能は基本的にどう鍛えんだ?やっぱ能力を使って慣れるとか?」
「それもあるが、通常は過去のデータと当人の性質を合わせ、それを元に適した指導法を考える」
昶の質問に駿が適切に答える。
養成所で教えてるだけあって、無駄なく適切に教えてくれる情報は、聞く側としても情報の整理がしやすかった。
「君達の場合、先程も言ったがデータがあまりに乏し過ぎる為、その方法で成果は望めない」
話しながらも、駿は数枚に纏められている資料を手に取る。
何が書いてあるかは分からないが、駿が視線を外さない事から重要な事か、あるいはこと細かく書かれているのだろう。
「そうだな。やはりここは、ジョエルの提供した情報に従おう」
「……え」
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