「………………」
昶が出した例えに、駿は沈黙する。
更に呆れが増したのか、深い溜め息をついた。
「あり?もしかして、違った?」
「さぁ?」
「……こんな事は言いたくないが、君達は相当の馬鹿なのか?」
「えー!?んーあんま気にしたことねーから、分かんねーけど……朔姫よりは馬鹿じゃね?」
「そりゃ山川さんは、この前の実力テスト3位だったからね」
顔だけでなく頭も良いと、クラスメートが騒いでいた気がする。
「ハァ……。まぁ昶の例えで、人によっては強ち間違いではない」
「よっしゃ!理解出来た!オレ天才!」
この以上、呆れたりしたくなかったのだろう。
話の途中で大袈裟に喜ぶ昶に対し、駿は何も言う事はなかった。
そして今度はあかねの方に視線を向ける。
「君はどうだ?」
「言ってる事は分かりますけど、実戦するには難しそうです」
あかねは苦笑する。
何せ生まれてこの方、一度も異能を使った事がないのだ。
無意識に使った事はあるかも知れないが、覚えがなければ意味は無い。
「ジョエルが言っていたが、君は異能を使った事がないらしいな」
「はい。覚えのある範囲では」
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