オルディネ 図書室
「―――と言うのが、このページの解釈だ。分かったか?」
「「分かりません!」」
「………君達は異能について学び鍛えるより、言語能力を鍛えた方が良さそうだな」
本の多さなら、そこらの公共施設とそう変わりない部屋の中で、駿は目の前の二人を見て呆れたように呟いた。
ゴールデンウイークという名の連休真っ只中。
あかねと昶は、異能についての知識、そして自身の異能の理解とその実践を、短期集中で補う事を決めた。
本来なら経験豊富なジョエルに頼むのが最適だったが、彼がそのような面倒事をやるわけもなく、結果として教育係に任命された駿が二人に指導する事になった。
しかし開始早々、そう容易にいくはずないのである。
「そんなぁ!?私、英語はパーだけど国語は80点取ってるよ!」
「なっ!?オレよりいいじゃねーか!どうやったらそんな点数取れんだ!!」
「特に何も……。あ、日本人なら多分オッケー」
「マジ?」
「……話を戻すぞ」
「あっすいません」
話すのを止めて、目の前にいる駿を見る。
その表情は呆れに混じって、どこか疲れてもいる。
「要するに、異能を発動するには想像力と精神力が必要不可欠だ」
「ってことはつまり、期末で赤点取りたくないって思って、焦って必死になって勉強するのと同じこと……ですか?」
.

