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男が言い終わると同時に、思わず目を瞑ってしまうほどの強風が襲う。
彼を狙う人影達は、あまりにも強い風の威力に吹き飛ばされそうな体に力を入れ、必死に対抗する。
それは一瞬とも言える出来事だっただろう。
風が徐々に収まり、人影達は目を開ける。
だがそこにはもう、男の姿は既に無かった。
「チッ!逃がしたか!」
「エー!?ドウスルノ?」
人影の一人が機嫌を損ねて言葉を吐き捨てれば、隣で至極残念そうな声色が喚く。
「落ち着きなさい。あの様子では、そう遠くへは行けないでしょう」
「二手に別れる。必ず探し出せ」
「そんな事言って、いつも逃げられてるんだけどマジで」
「マジデ♪マジデ♪」
「……………」
人影達の中でも年長である男は、年少である二人の言葉に沈黙する。
「ハァ……ボスもよくアンタに生き残りの行方を頼むよな」
「当然ですわ。彼が逃げ延びてから、ずっと追い続けているんですから」
「ケナゲダヨネー♪」
好き放題言い続ける三人に、年長の男は思わず頭を抱えたくなる気持ちを抑える。
「必ず探し出せ。命令だ」
「へいへい」
「かしこまりました」
「リョーカイ♪」
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