桜空あかねの裏事情


意図が掴めない言葉に、不思議そうに首を傾げる陸人。


「ここに来る直前にね。ジョエルが言ってたのよ」





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会議が終わり、昶を始めに朔姫や駿も円卓の間から順次去っていく。
そんな中ジョエルと結祈、そしてギネヴィアは未だ部屋に残り、足音が遠ざかるのを確認すると、結祈は開いていた扉を閉める。
会議が終わってから無言を貫いていたジョエルが口を開いた。


「会議が終わって早々で悪いが、ギネヴィアには」

「分かってるわよ。忍び込んで的確な情報を持って来るんでしょ」

「そうだ……と言いたいところが、今回は違う」

「は?」

「ソンブルへ密偵として潜り込むのは変わりない。が、その前に陸人をオルディネに帰還させろ」


――何いきなり難題を押し付けてんのよ、
――このクソ男。

口には決して出さないが、ギネヴィアの内心悪態を吐く。


「いい年したお子様は、お嬢さんがリーデル候補であることと、私の独断が気に食わず実家へ帰省したとみたが……今は違う理由で居座ってるとみる。いや、始めからか」

「は?つまりどういう事よ」

「深い意味は無い。ただ陸人も所詮、情に絆される子供だという事だ」




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