義姉の承諾に、嬉しそうに声を響かせる陸人。
お茶会をする事が決まった時点で、彼と話す事が困難であると判断したギネヴィアは、見つかる前に立ち去ろうと一歩下がった。
「あ、ちなみにお茶は三つ用意して」
「え?」
――三つ?何故?
疑問が浮かぶのも束の間。
「さっきから外で様子を伺ってるのは分かってるよ。会うの久しぶりだし、君もどう?」
――……そういう意味なわけ。
ギネヴィアは溜め息を零し、来た道を辿るように部屋の前まで行き、襖に手をかけそのまま開いた。
「相変わらず性格悪いわね」
「そりゃあね。こんな家で育てば、良くはないでしょ」
悪態と文句をつきながら見下ろせば、陸人は胡座をかきながら挑発的な笑みを浮かべ、悠々と過ごしていた。
ふと視線を左に向ければ、目を丸くして驚いた様子でこちらを見つめる女性がいた。
燃えるような赤い髪が印象的な、穏やかで大人しそうな面持ちのその人が、陸人の兄の嫁にして彼の義姉なのだろう。
観察するように眺めていると、義姉はそれに気付き慌て始める。
「あ……え、えと、すみません。お、お茶をお持ちしますね」
「ゆっくりでいいからねー」
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