桜空あかねの裏事情


「クックッ………そうは言うが、大事な会議でうたた寝してたのは、どこの誰だったかな」


「え、あーそれはー………」


痛いところを疲れ、思わず口ごもりながら昶は視線を逸らす。
その様子にどこか満足したのか、続いてジョエルはあかねを見遣る。


「私から言わせてもらえば、そんな事より違う事に、力を入れて欲しいものだ」


明らかに自分に向けられている嫌味を、あかねは右から左へ聞き流す。
反論したところでジョエルを言い負かす事など出来るはずもなく、また正論でもある為、特に何か言うことは無かった。


「私なりにやってるつもりだけどね。ジョエルは連休何するの?」


それでも僅かな反抗を残しながら、話を切り替える。


「生憎私には、君達のように遊んでる暇などなくてな。連休だろうが何だろうが、有効に使わなければ意味はない」

「ふーん。そう」

「せいぜいお嬢さんも与えられた時間を無駄にせず、色々と考え抜いて決めておくことだ。たった一つの選択で、事は容易く決まってしまうこともあるのだからな」

「……」


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