「違うの。少し考え事をしていただけ」
強ち間違ってはいない弁明をすれば、あかねは納得したのか安心するように笑った。
「なら良かった。あのさ、山川さんは連休どうするの?」
「連休?」
「うん。昶に聞いたんだけど、3日にクラスの人達と遊ぶんだって。私は2日に家に帰るから行けるか分かんないんだけど、山川さんはどうなのかなぁって」
「明日から実家に帰るけど、2日には戻る予定だから多分、行けるわ」
前向きな返答に彼女は更に笑顔になり、隣にいた昶は何故か喜びを噛み締めるように拳を作る。
「よっしゃ!クラスのヤツに連絡しとくぜ。あかねも絶対来いよ!」
「うん。努力する」
「クックック」
不意に背後から声が聞こえた。
あかねと昶が同時に振り返ると、愉しげにこちらを見下ろすジョエルの姿があった。
「子供というのは実に呑気なものだ。私が今後の事を考えている間に、着々と遊ぶ予定を組んでいる」
「ジョエルのヤツ、いつの間に後ろに………って、オレらそんなガキじゃねーっての」
いつの間にか背後に現れ驚きながらも、昶は悪態をつく事を忘れない。
しかしそれで事が収まるわけではなく、ジョエルはすかさず口を開く。
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