あかねとは同じ館に住み、他のクラスメートよりも接する時間は長いのに、彼等と同じようにどこか他人行儀で名字呼び。
朔姫自身も違和感を感じない事はなかったが、自分と彼女を取り巻く環境を含めて考えれば、単純に友達と割り切る事が出来ずにいた。
そして彼女も、同時に自分の立場を理解して接していると思っていた。
しかし瀬々に一方的に話された今では、自分がどこか一歩引いたように接するから、彼女もそうしているのかと思わずにはいられない。
自分が気付かなかっただけで、彼の言う通り友人と思っていないのだろうか。
「私は、そんなこと………」
――ないはず。
彼女と出会って、今まで得る事の無かった女友達と呼べる存在が出来た事に、密かに喜びを感じたのを覚えている。
しかしどこか距離を置いているのも事実で、自分自身が本当はどう思っているのか、考えて抜いても分からず、深く溜め息をつく。
「山川さん」
「ッ!」
溜め息をついたと同時に、声を掛けられ勢い良く顔を上げる。
そこにはあかねの姿があり、少しだけ目を丸くしこちらを見つめていた。
「ごめん……驚かせちゃった?」
控えめに尋ねられれば、朔姫はゆっくり首を横に振る。
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