「あー勘違いしないで欲しいんスけど、友達だからって全てを晒け出すことはないんスよ」
更に人を食ったような態度で話し続ける瀬々。
一体彼は何を言いたいのか。
そして彼女の事が気に食わないと、疎ましいと思ったことなどないはずなのに、反論することが出来ない自分が酷く腹立たしい。
何より全てを見透かされているような感覚が、朔姫にはとてつもなく気味が悪かった。
「それが?」
その気味悪さから解放されたくて、思わず冷たく言い放つ。
しかし瀬々はそんな態度を物ともせず、話し続ける。
「誰にだって知られたくない事の一つや二つあるもんッスから。でもその全て隠すのなら、多分それは……」
瀬々は朔姫の耳元に口を近付け――。
「友達ですらない」
最終的な決め手だったのだろう。
その言葉を聞いた瞬間、張り詰めていた糸が途切れたように、朔姫は完全に思考が途切れ沈黙する。
「まぁ結局のところ、山川さんが決めることなんスけど」
「…………」
「あと一ヶ月あるみたいだし、ちょいと考えたらどうッスか?」
言いたい事だけ言うと、瀬々は駿とアーネストの会話に入っていった。
彼からしてみれば、軽い疑問だったのだろうか。
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