リーデルはチームの象徴。
日頃からそう言い聞かされていた彼女からすれば、新たにリーデルとなる者が本当に相応しいか否か、厳正かつ慎重に判断し選ばなければならないと思っていた。
「確かにそれは一理あるッス。自分の将来が決まるかも知れない大事ッスからね」
そう言って同意するように頷けば、朔姫は心なしか安堵する。
「でもそれって言い訳ッスよね?」
「……え?」
「あ、違うか。無関心でいる事で、自分の本心を知りたくない知られたくないっていう自己防衛……かな?」
悪ぶれる様子もない瀬々から発せられる、追い詰めているかのような言葉に朔姫は耳を疑う。
このクラスメートは何を言っているのかと。
そんな心情を知ってか知らずか、瀬々は笑みを保ったまま話を続ける。
「ある日突然やってきたと思えば、唐突にリーデル候補だって言われて。風当たりが厳しいかと思いきや、味方がいて彼女は決して一人じゃない。って言っても辛くないわけじゃないと思うんスけど。そして君達に認められるように、ひたむきに努力している。更に君が大幅な信頼を寄せているジョエルさんすら、あかねっちにご執心。そりゃ気に食わないのも無理はない」
小馬鹿にしているような物言いに、沸々と苛立ちを覚える朔姫だが言葉が出ない。
反論したい気持ちはあるのに、何故か紡ぐことが出来なかった。
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